国際法に対する犯罪は抽象的な主体によってではなく、人間によって犯されたものであり、こうした罪を犯した個人を処罰することによってのみ、国際法の条文を実行することができる。 ―1946年ニュルンベルク判決より―
1945年に創設された国際連合の第一回総会で真っ先に採択された決議とは、「国際法の下で犯罪にあたる行為を行った者はその犯罪に責任を有し、刑罰を科せられる」としたニュルンベルク原則でした。それから以後60年間の間に、戦争の違法化、武力紛争法(国際人道法)が確立され、そして2003年、国際刑事裁判所(ICC)はICC規程にもとづいて設立されました。
国際刑事裁判所は、ジェノサイド罪、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略犯罪を対象犯罪とする常設の国際裁判所です。
この裁判所の画期的な点は、国際人道法に違反した個人を超国家的刑罰権でもって裁くことを目的としている点です。伝統的には、国際法上の犯罪であっても、犯罪者を裁く権利は国内裁判所にありましたが、公平性や実効性が保つのが難しく十分に処罰されないままとなっていました。
しかし、「不処罰の文化」を終わらせ、国際法の更なる違反を防止し義務の履行を確保するためにICCは設置されました。現在、ルワンダ、旧ユーゴスラビア、スーダンの事態が付託されています。アナン事務総長(当時)はICCを「希望の贈り物」と呼びました。
では国際社会はなぜイラクのフセイン元大統領をICCで裁くことができなかったのでしょうか?
なぜならICC はいかなる国、いかなる場合にも裁判管轄権を有するわけではないのです。まず、ICC が管轄権を行使できるのは、事態の関係各国がICCローマ規程の締約国である場合です。
この場合、犯罪が起こった場所であるイラクとフセイン元大統領を拘束しているアメリカがあげられますが、双方ともICC規程を批准していません。またそもそもICCローマ規程が発行した2002年6月以前に生じた犯罪については、時間的管轄権の問題から、ICCの対象犯罪外なのでICC が裁判管轄権を行使することは不可能です。
上からも分かるようにICC規程には、アメリカをはじめロシア、中国といった主要国は批准していません。加えて中東・アジア地域の締約国もまだまだ少ないのが現状です。締約国にとっては、より多くの国をICCのレジームに取り組みながら機能性・実効性の向上を図ることが必要になってきます。
一方、同じように国際の平和の安全の維持を担う、安全保障理事会との関係も課題となっています。ICC規程ではいくつかの点で安保理に特別の地位を認めています。しかし、司法機関としてICCは独立性や公平性を確保すべきであり、政治機関である安保理の介入は、裁判の独立の観点から問題を指摘されています。
今会議では2010年5月から6月にかけて行われる、国際刑事裁判所ローマ規程の検討会議を再現します。参加者の皆さまには法の論理と力の論理が対峙する会議の中で、国際刑事裁判所規程を理念上のものにとどめるか、あるいは実行力のある法とすることができるのか、存分に議論していただきたいと思います。
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