第12回模擬国連会議関西大会
第21会期 国連総会 本会議(21th GA-Ple)
- 議題
-
Representation of China in the United Nations
国連における中国代表権問題
- 会議設定
-
| 募集人数 | 43人 |
| 会議監督 | 清水 裕大 (四谷研究会 明治大学法学部法律学科3回生) |
| 議長 | 矢幅 絵梨 (国立研究会 東京外国語大学外国語学部中国語専攻3回生) |
| 秘書官 | 清 衣里奈 (神戸研究会 大阪大学法学部国際公共政策学科3回生) |
| 使用言語 | 日本語/日本語/英語(公式/非公式/決議) |
- 国家として生きること。――――――
-
“国”として、認められるにはどうしたらよいのでしょうか。
誰が“国”として認めてくれるのでしょうか。
- 国割り
- 国割りはこちら
からご覧になれます。
- 議題解説
-
現在、日本から程近い台湾という島が“国”ではないことをご存じでしょうか。あるいは、この島が“国”であったときをご存じでしょうか。この島は、1971年に採択されたアルバニア決議以降、国際社会から隔絶した生活を送ってきました。大陸から渡ってきたある人物のせいで、この島にもともと住む台湾人の自決権は無視され続けてきました。以降、台湾問題について国連で議論にあがることさえ中国によって封じられてきました。今会議は、いわゆるこのパンドラの箱の起源を辿ることが目的となります。
時代は、現代から遡り、1966年。東西冷戦の最中であり、核不拡散条約もできていなければ、ベトナム戦争も終わっていません。ベルリンの壁ができて間もないころの時代です。60年代といえば、60年の「アフリカの年」に代表されるように、国連における議席の均衡性が崩れ、アフリカの影響力が増している頃です。
国連発足から20年が経過した1966年、加盟国数は100を超え、多様な価値観が存在し、国連の向かう先やあり方への考えも多様化します。その中で、国連の未来に必要なのはどちらの中国なのか、あるいは両方の中国なのか。国連のビジョンをもとに、一カ国の運命を思考します。
- 議題メッセージ
-
国として認められるために必要な要素とはなんでしょうか。領土?人民?統治能力?外交能力?これらがすべて備わっていれば、果たして本当に国家として認められるのでしょうか。私は、この“国の在り方”について“ある枠組みの中で認められること”ということに制限し、皆さんと考えていきたいと考えています。私たちも、様々なコミュニティや人間関係で生きていて、その中にルールがあります。国家の枠組みも変わりません。
国際連合という枠組みの中で国家として生きるには、どのような要素が必要なのか、それを皆さんに考えていってもらいたいです。加えて、枠組みからはみ出されるとその国はどのような一途をたどることになるのか。一緒に組織の未来、一国の未来を創造しましょう。
【参考文献】
藤田久一『国連法』(東京大学出版会、1998年)
張紹鐸『国連中国代表権問題をめぐる国際関係(1961-1971)』(国際書院、2007)
近藤崇顕『国際法から見る台湾問題と国連参加の意義』(北大法学研究科ジュニア・リサーチ・ジャーナル、2007)
落合淳隆『国連における代表権承認の基準』(海外事情、1969年9号)
- 会議コンセプト
-
どうして現在の状態になっているのか、どうしてあの場面で、あの国はあのような行動をとったのかについて、 参加者には、ひたすらifとwhyを追求し、参加していただけたらなと思います 。そして問題を根源から探求し、議論し、現代の問題とのつながりを思考しましょう。
国連の未来にあるのは、どちらの中国か。
40年以上タブーとされてきた代表権問題を、この夏に舞台を“過去”に移し、議論を通して、根源から問題を見つめなおし、“現在”とのつながりを感じてみませんか?多くの参加者をお待ちしております。
- 大会テーマ×議題
-
国連は根源的に、国際の平和と安全の維持のために設立され、組織の性質的に意見調整・協力的な機構である。この組織は、武力不行使の原則に鑑み、会議という方法を行い、当事国だけでなく多国間で意見調整することで国家間の対立を緩和し、戦争を回避する目的があり、効果がある。そうした背景があるにも関わらず、 当時の国際社会では、国連外に存在する“中国”が関わっている事件が多くなり、“中国”の存在自体も無視できない状態となった。渦中に存在する国家がいない国際機構は、国際連盟のように重要な国が参加せず、想定された機能を果たさず、形骸化する可能性もでてきた。さらには、憲章で謳っているすべての国に開かれるという普遍的国際機構にもかかわらず、“中国”を参加させていない現実もある。これは設立当初の戦勝貢献国の状況圧力(安保理のシステム)が尾をひいたという原因と、冷戦構造によって生じた国連の大きな障害であった。 永劫的に、世界が“平和”でかつ“安全”であるために必要なのは、国連がすべての国の対話の場でなければならない。国連は、設立条約をもとに存在し、変化する国際情勢の中で理念を達成しなければならない使命がある。理念は普遍的であるのにもかかわらず、情勢は可変のものである。可変な情勢に対応しつつ、普遍的な平和を達成するため、論争があるからこそ、会議を開き、議論するのである。本議題においては、本来「代表権」という資格審査委員会という国連職員らが判断し、処理する事案である。しかし、安易に判断することを敢えて保留し、6つある諸委員会ではなく、総会本会議で国連全体に大きく関わる議題として扱っているのである。これはつまり、各国大使の判断に、世界全体の平和の運命だけでなく、この組織自体の運命も委ねようとしているのではないかと考えられる。換言すれば、この「中国代表権問題」を国連で議論する意義というのは、国連の枠外と枠内の運命を決めるところにあるといえるのではないか。私は、このように本議題を大会テーマに照合し、考えています。
- 国選びのポイント
-
国割 を決めるポイントは、大きなポイントとして3つあります。1つ目は、中華人民共和国・中華民国のいずれを国家承認しているのか。次の2つ目には、当時の世界情勢において東西どちらに分類されるのか。最後の3つ目は、いつ国連加盟を果たしているか。この3つのポイントは、①主題となる“国家”に対して二国間の枠組みでどのような関わりがあるのか、②二極化の国際情勢という枠組みでどのように位置しているのか、③議論の場である国連という枠組みに対しての関わり方はどのようなものなのか、というこれらの枠組みでの関係性が各国の政策に如実に影響していきますので、考慮して国割を選んでいただけたらなと思います。またペアデリを指定している国に関しては、今会議において重要国となります。
- プレス
-
第二次大戦後、再び内戦状態と化した中国大陸。1949年、中国共産党が事実上大陸全域を制圧し、北京を首都に中華人民共和国を建国した。それまで中国国民党が中国大陸全土に掲げていた「中華民国」の旗を下ろして新たな「中華人民共和国」の旗を掲げたのである。一方の中国国民党は台湾に逃げ込んで中華民国の存続を宣言した。中華民国という旗は台湾で残ったのだ。大国の思惑もあって大陸と台湾で二つの異なる旗が存在する状況は固定化された。
この異なる二つの旗が存在しているという事実こそ、この会議の対立の象徴だ、それもどうしようもなく深いほどの。国連発足時から「中国代表」として代表権を得ている中華民国は台湾撤退後も「法統」、すなわち自らだけが唯一正統な中国であると主張し、また中国共産党を「共匪」と呼び捨て、彼らが中国大陸を不法占領しているという立場を崩さない。一方の中国共産党の側も1949年の建国をもって中華民国は消滅した、中国とは中華人民共和国のことである以外に何の意見があるのか、という立場だ。お互いがそれぞれ自らの旗だけの存在を認め、相手の旗の存在さえ認めようとさえしていない。以上がこの会議に横たわっている対立であり、大前提だ。
そこで今回注目すべきポイントは「第三者の動き」だ。すなわちこの根深い対立を新たな視点から解決に導こうとするであろう、国々の動きである。対立自体がどうしようもなく深いものになってしまっている以上、この議題でまず注目すべきは当事者に近い立場を採る国々ではないと思う。この1966年に至るまでも、いくつか第三者の中立的な解決を探る動きが存在した。解決にこそ至らなかったが、まだまだそうした動きへの期待を捨てるには早いと思っている。誤解しないで頂きたいが、これは当事者たちを抜きにした議論をしてほしいという意味ではない。いかにして当事者から距離を取った国々が当事者達の対立を動かしていくか、ということだ。
私は今回、中華人民共和国から会議の取材に来た記者というスタンスで取材を行う。理由は中華人民共和国代表の参加が認められていないためである。もちろん感情的な書き方は避けるが、大使のみなさんにそれぞれの大使という役割があるように私もその役割に徹する。そしてほかの参加者の皆さんと同じく、私も一人の参加者1966年にタイムスリップしたつもりで議場を訪れる。そしてただのモノ書きではなく、会議に影響を及ぼすプレスを目指そうと思う。世界にとって重要だと思ったことは批判覚悟で報道するし、逆に大使のみなさんが世界に向けて発信したいと思ったことは意図的に私に売り込んで構わない。
そして今回、私がプレスとして伝えたいことはひとりひとりに「国家」というものを考えてほしいということである。国家とは他者に認められなくてはいけないのか、あるいはそうでないのか。そしてそれが個々の心の中にある国家というものとどう関連してくるのか。「中国代表権問題」という国家を巡る論争を通して常にこうした、普段ならうっかり素通りしてしまうような部分を考慮にいれて頂きけるような報道も同時に目指したい。
大会企画
ダウンロード
SNS
後援 (敬称略・五十音順)
協賛 (敬称略・五十音順)
全国の模擬国連