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今から16年前の1993年5月25日、安全保障理事会にて採択された決議827によって旧ユーゴスラビア国際刑事法廷が設立され、その翌年にあたる1994年11月8日には同じく決議955の採択によってルワンダ国際刑事法廷が設立されました。 冷戦が終結し、安全保障理事会の機能不全が解消され、新たな国際秩序への模索が始まった中で設立された二つのAd Hocな国際刑事法廷は、国際社会に大きなインパクトをもたらすことになりました。しかし様々な国の管轄権の枠を飛び越えて刑事活動を行うには多大な労力と費用を要し、次第にこの二つの国際刑事法廷の非効率性が指摘され始めることになります。 その中2003年8月28日に、安全保障理事会では決議1503が採択され、Completion Strategiesが採用されることになりました。その決議によれば、「2004年末までに全ての捜査を完了し、2008年末までに全ての第一回公判を完了し、2010年末までに全ての活動を終了する」ことが定められています。 しかし2009年現在、未だに全ての被疑者は逮捕されていません。全ての公判どころか、捜査すらも終了していないのが現状なのです。この事態に安全保障理事会はどう対処するべきでしょうか。 さて、二つのAd Hocな国際刑事法廷が設立されたことの目的の一つとして、「法の支配」を紛争後の社会にもたらすことが挙げられます。これは、国内紛争によって制度が崩壊してしまった社会において、早急に制度構築を行うことにより平和を達成しようという試みによるものからです。冷戦終結によってイデオロギー対立が解消された国際社会において、価値が一元化し、決して逸脱してはいけない法規範というものが存在するという前提に立つとすれば、国際社会が紛争後地域の諸勢力から独立した司法機関を設立することによって、その法規範に基づいた制度構築を手伝うことは適当な措置であるということにもなりえます。しかし、このような国際社会の論理は、全ての国内社会において適合するのでしょうか。 このような「逸脱してはいけない法規範」という秩序に律された国際社会は望ましいのか望ましくないのか。国際的な秩序を模索する現場において国益が絡んでくる国際社会の現実とどう向き合うのか。そして大使としてだけではなく一個人として何を目的として会議に参加するのか。その様な幅広い視点から、安全保障理事会が二つの国際刑事法廷に対して下すべき判断を、参加者の皆様には思考して頂きます。模擬国連を一つの手段として皆で難問に取り組み、お互いを高め合っていけたら、と強く切に願います。 【参考文献】 篠田英朗著 『平和構築と法の支配 ?国際平和活動の理論的・機能的分析』(創文社、2003年) 『国際社会の秩序』(東京大学出版、2007年) 広島市立大学広島平和研究所編『人道危機と国際介入』(有信堂、2003年) 土佐弘之著「グローバルな立憲秩序と逸脱レジーム―ICCプロセスの事例を中心に― 」 日本国際政治学会編『国際政治』147号(国際秩序と国内秩序の共振) |
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