1967年に、それまであったEEC、ECSC、EURATOMを統合して完成したEC。当時の原加盟国はわずか6カ国に過ぎませんでした。それから40年、ECはさまざまな過程を経てEUへと生まれ変わり、加盟国も27にまで増加しました。当初は経済的な連携の強化が目的だったにもかかわらず、現在はさまざまな分野での統合が見られ、政治、文化、外交などでも一定の協調を見せています。今日の国際社会において、EUは重要なアクターの一つとして認識されているのです。
今日まで順調に拡大を続けてきたEUですが、それに伴い、様々な問題が顕在化してきました。東欧拡大に伴う経済格差、東欧出身者の流入による西側諸国の失業率の上昇、トルコの加盟問題などは、EUの拡大に一石を投じる結果となっています。その様な問題を抱えつつも、EUが拡大を続けてきたのは、「ヨーロッパは一つである」という強い思いがあったからです。そのような考えを示すための指針として制定されるはずであったものがEU憲法条約です。EUの強いつながり、一体性を誇示するものとして、各国はその制定に期待を寄せていました。しかし、そのEU憲法は未だ制定されていません。2005年5月29日のフランス、同年6月1日のオランダと、ECの原加盟国の2カ国で相次いだ、国民投票によるEU憲法制定の否決。これは、EU各国にとって大きな衝撃となりました。今まで共通理念であった「ヨーロッパは一つ」という理念、その象徴ともいえるEU憲法の制定に、しかも今日のEUの原点を作ったといっても過言ではない国家から疑問符がつけられたのです。それ以来、他国は国民投票を見送り、EU憲法条約の各国での批准にむけた作業は凍結されています。
EU憲法が抱える問題とは何なのでしょうか。EU内のすべての国家において制定を批准される憲法とはどのようなものであるのでしょうか、あるいは、そのようなものは存在しないのでしょうか。そもそも、EU憲法は本当に必要なのでしょうか。国際会議では共通の利益の下に行動をすることが多いヨーロッパの各国が今会議においてどのように行動し、この問題を解決していくべきなのか、それらを各大使の皆様には考えていただきたいと思います。
※ ニューズレターvol.3に中野ディレクのインタビューが掲載されていますので、そちらもご参照下さい。