これは第3回勉強会で出た質問に対して議題解説者がリサーチしたものです。
1. 安全な第三国を決定するのに基準はあるのか
安全な第三国概念は既に国際社会に広く受け入れられた概念ではない。従って国際的に共通した「安全な第三国」に関する定義や基準も存在しない。ある国が安全であるかどうかはそれぞれの国が判断しているため、その公平さに疑問がもたれている事は既に述べたとおりである。
一例として、ドイツの例を紹介する。ドイツ基本法は安全な第三国について以下のように規定している。
基本法 第16a条
⑴ 政治的に迫害される者は、庇護権を享有する。
⑵ 欧州連合構成国から、又は難民条約及び欧州人権条約の適用が保証されるその他の第三国から入国してきた者は、第1項を援用することができない。欧州連合外の国であって上記第1文の条件に適合する国は、連邦議会の同意を必要とする法律によって定める。
ドイツ庇護手続法 第26a条安全な第三国
⑴ 基本法第16a条第2項第1文の意味における第三国(安全な第三国)から入域した外国人は、基本法第16a条第1項を援用することができない。そのような外国人は庇護有資格者と認定されない。ただし、上記の第1文は、次のいずれかの場合には適用されない。
① 当該外国人が安全な第三国に入域した時点で、ドイツ連邦共和国での在留許可(Aufenthaltsgenehmigung)を取得している場合
② ドイツ連邦共和国が、当該の安全な第三国との国際条約に基づいて庇護手続の執行に管轄権を有する場合
③ 当該外国人を、この法律第18条第4項第2号に基づく命令によって強制退去又は強制送還をしてはならない場合
⑵ 安全な第三国とは、欧州共同体〔訳者注�現行の欧州連合〕の構成国以外の、付表Ⅰに掲げる国である。
⑶ 付表Ⅰに掲げる国の一つにおいて、当該国の法的又は政治的な諸関係における変革ドイツにおける難民保護と難民庇護手続法外国の立法216(2003.5)
87が、基本法第16a条第2項第1文に定める要件が存在しなくなっているとの推定を根拠づける場合には、連邦政府は、連邦参議院の同意なしに法規命令によって、当該国はもはや安全な第三国と見なされないと決定することができる。この命令は、その発効後遅くとも6月で失効する。
付表Ⅰ に掲げる国とは、フィンランド、ノルウェー、オーストリア、ポーランド、スウェーデン、スイス、チェコである。
つまり、ドイツにおいて安全な第三国とは「欧州連合構成国」又は「難民条約及び欧州人権条約の適用が保証されるその他の第三国」であるといえる。また、欧州連合構成国以外の場合はドイツの連邦議会によって決められることがわかる。付表1の国で、スイス以外は全てEU加盟国となっている。(2004年5月現在)
2. 一時的保護と同時に難民申請を出来るか。
国際社会全体における一時的保護の概念というものはまだ固まっていないのでここではEUの政策について説明する。
最初に結論を言ってしまうと、可能である。但し、申請をした場合は一時的保護を享受することが出来なくなる。2001年7月20日に欧州共同体理事会によって提出された「避難民が大量流入する場合の一時的保護を提供するための最低基準に関する命令」(以下、命令とする。)では庇護申請を希望するものに対して命令第17条は以下のように規定している。
1. 一時的保護を享受するものは、いかなる時も庇護申請を提出可能でなければならない。
2. 一時的保護機関終了前に処理されなかったいかなる庇護申請の審査も当該期間終了後に完了される。
一項では一時的保護受益者はいつでも申請を出来ると規定しているが、19条では庇護申請者の地位と一時的庇護を教授することはできないとされている。申請が認められなかった場合は再び一時的保護を受けられる。
第二項では一時的保護の最大期間(3年) が帰還が不可能なまま終了する場合、全ての庇護申請を終わらせることを国家に要求している。これによって期間が切れた後も速やかに難民として庇護を受けられるようになる。また、一時的保護の期間が終わる前に期間が可能となった場合も、強制的に帰国させられる前に庇護審査の結果を知る事が出来るというメリットもある。
3. 一時的保護の期間について
はっきり覚えていなかったので議題解説の場では紹介しなかったがBGの第6章で述べられている。BG第6章106P 、もしくは『難民の国際的保護』38P を参照。