Working Paper by the United States

      国家主権の再検討と干渉(介入)モデルの提案

 

 今会議で扱われる議題は、過去に国連の場で協議されたことのない、チャレンジングなものである。そこで合衆国政府は、今会議の焦点となる国家主権の問題を取り上げ、自国の見解を述べると同時に、ナミビア・カンボジア・東ティモール等の事例の一般化を含めた形での、破綻国家への介入モデルを提案し、各国大使の議論の一助としたい。

 

1.  国家主権の再検討

破綻国家:防衛、法と秩序維持、財産保護、経済管理、公衆保健、極貧層の保護が遂行されていない(一定領域と、その住民の安全・生存が脅威にさらされている)国家。

 *破綻国家問題:当事者能力のある権力は不在だが、他国は主権国家への内政不干渉原則により当該国家への関与を禁じられている問題。

 

    憲章の想定する「平等な主権国家から成る体制」と現実との乖離

    

    国際の平和と安定の維持=主権国家体制の維持=破綻国家の再建

 

A 破綻国家の再建には、強制措置による停戦が必要不可欠であり、その担保は国連による紛争国の主権の制限・留保である。主権の制限・留保は、破綻国家に対する国際社会の関与を正当なものとし、強制措置による一時的な国際管理を予期させることで、当事者自身が国内のそれ以上の混乱を抑止し、国家として再生する手掛かりを掴むように仕向ける意図を含包する。

 

B 合衆国政府は、破綻国家への干渉は国際法的にも明確な違法とは言えず、憲章13項の理念(「経済的、社会的、文化的または人道的性質を有する国際問題を解決することについて、並びに人種、性、言語または宗教による差別なく全ての者に人権および基本的自由を尊重するように助長奨励することについて、国際協力を達成すること」)の実現においては、憲章24(武力行使禁止原則)、並びに同条7(内政不干渉原則)は適用されないと考える。

 

 

2.  モデルケース

@停戦の実現

破綻国家で、既に発生している暴力の遮断(内戦の停戦)が必須

         ↓

強制措置は必須=圧倒的に優位な兵力が必要

         ↓

国連の統制下において、紛争国が属する地域の多国籍勢力(地域機構)を活用すべき(多国籍強制軍)

 

A停戦後の課題

 (1)国際統治「第2世代」型PKOの展開(停戦協定で規定)

       多国籍強制軍は、国連決議に基づいた治安維持部隊として再編

  PKOと多国籍部隊とは別

  (2)武装解除、周辺国家を網羅した武器禁輸協定の早期発効

  (3)司法制度の整備

 (4)警察の整備

 

B国際統治下における措置

 (1)臨時政府を構成する為のフォーラム(制憲議会準備)の設置

  (2)新政府の構成…旧指導者層や内戦での敗者にも、次の選挙での機会が保障されるシステムが重要

 

 

                                 (文責:今井和昌)