文責:近藤真由美

■ BG3(2)―紛争予防の活動 (BG P49~P59)

1、 マケドニアでPKOによって展開された予防展開とは、どのような活動でしょうか。

また予防展開は、国連内で出されたどのような文書をきっかけにして、実行に移されたのですか?

 

予防展開とは、要請があった国に対して紛争が始まる前に部隊が派遣され、攻撃国からの侵攻を未然に防ぐ活動。それまでのPKOは派遣の前提条件として当事者双方の同意が必要であったが、予防展開の場合は当事者一方の同意でも派遣が可能となる点に特徴がある。ガリ国連事務総長が1992年に出した『平和への課題』の、予防外交の活動の一環として予防展開が提唱された。

 

 

2、東ティモールの内戦後の国内復興のために、国連東ティモール暫定統治機構UNTAETUnited Nations Transitional administration in East Timor)やその他の国際機関が行った諸活動として、どのような活動が挙げられますか。

 

UNTAETやその他の国際機関、国際団体は、選挙を行ったり、本格的な行政機構ができるまでの暫定政権の活動を支援したり(あるいは、暫定政権の一端を担ったり)、医療支援、食料支援、インフラ復興、武器の回収作業など、独立後間もない東ティモールが、国家として正常に機能できるように尽力した。

 

 

3、治安の悪化が激しいシエラレオネにおいて、UNAMSILの手によって主に進められた治安維持活動は何だったでしょうか。また、内戦後のシエラレオネの問題(とりわけ子供の問題)にはどんなものがあるでしょうか。

 

復興作業を進めるにあたって不可欠となる治安の回復を目指すために、主に武器回収が行われた。また、内戦が生んだ深刻な問題の一つに子ども兵(child soldier)の存在がある。国連において1998年に少年の徴兵禁止の決議が出されるなど、国際社会の流れは確実に子ども兵を禁止する方向に歩んでいたが、当時シエラレオネには約4000人もの子どもが不足する兵力を補完していた。戦後、リハビリセンターなどで再教育が行われてはいるものの、10代から人殺しという強烈な経験したことで精神的に深い傷を負った子ども達の再教育は大変困難なものとなっている。

4、近年においては、多方面で予防外交の重要性が叫ばれ、またその活動も紛争が起こった地域や国家においてさかんに行われていますが、現地において紛争の勃発や再発を防ぐために、一番の基礎となるものは何でしょうか。考えてみてください。

 

一番重要で、必要とされるのは信頼醸成である。つまり、普段から相手との信頼関係を築く努力を怠らないことや、また国家間や国内において問題を抱えた場合には、問題解決のために誠実な態度で相手に接することが重要といえる。一方、実質的な面から言うと、武器回収が事態を悪化させないために必要である。世界各地では冷戦時代の遺産として様々な小型武器が散在しており、それが紛争の一層の拡大を引き起こす一因となっている。このような現状を打開するために、武器が必要なくても生活できる治安の確保と、その後の武器の回収作業の努力を継続的に行ってゆくべきであろう。

 

 

解答例作成者:冨永紀子(BG3(2)担当)

 

 

■ BG4章―ケーススタディから学ぶ (BG P61~P72)

1、旧ユーゴスラビアでの紛争予防の失敗要因は何でしょうか?

 

<解答例>

◎紛争の当事者から十分な協力を得られないまま、その活動を行っていったこと

 

クロアチアでは「保護区」は非武装状態を確保するどころかUNPROFORの監視下にありながらセルビア人勢力の事実上の支配地域となってしまった。この事態はクロアチア側のUNPROFORへの不信感をあおることとなり、最終的にはクロアチアが「保護区」となっていた2地域に武力行使に訴えることでクロアチアの領土が実質的に再統合されるという事態にまで発展した。

ボスニアではUNPROFORによる努力もむなしくセルビア人勢力、イスラム教徒勢力、クロアチア人勢力の三者勢力三つ巴という形で事態は悪化していった。この三者勢力間において「民族浄化(ethnic cleansing)」と呼ばれるような他民族集団にたいする残酷な人権侵害行為が行われるようになった。これに対して人権侵害を停止する必要があると考えた安保理事会はUNPROFORにしばしば強制行動を行える権限を与えたのだが、その活動は三者勢力から十分な協力を得ることができなかった。しばしば行われたUNPROFORの軍事力による強制行動は当事者からの反発や国連に対する不信感を招き、事態を悪化させることとなったのである。

☆伝統的PKOの同意原則の重要性が改めて強調されたわけですね。

2、ソマリアでの紛争予防の失敗要因は何でしょうか?

 

<解答例>

1.紛争当事者の了解を得ないまま平和強制活動が実施されたこと

紛争当事者の了解を得ることがその活動の大前提であった従来の平和維持活動とは異なり、ソマリアで展開された平和強制活動はそれを必要としていなかった。このことが一部の勢力から反発を招き、武力衝突を生むこととなったのである。

 

2.武装解除という当初の目的から最大勢力のアイディド派を武力で制圧し、アイディド将軍を逮捕するという目的に変わっていったこと

 

もともとは紛争を予防するために武装解除を主な任務として派遣されたのがUNOSOM:Uだった。しかしそのPKO要員が殺害されたことをきっかけとして、その任務が武装解除からアイディド派を武力制圧するというものに変わってしまったのである。つまり紛争の当事者になってしまったのである。

☆伝統的PKOの同意原則の再確認に加えて、PKO要員は中立の立場である必要性を痛感することとなったのです。

 

3、ルワンダでの紛争予防の失敗要因は何でしょうか?

 

<解答例>

◎早期から紛争が起こりそうだという警報が発せられていたのにもかかわらず、紛争を予防するような措置が早期にとられなかったこと

 フツ族とツチ族の間で大規模の衝突が起こるのではないかという警報がルワンダ国内外で早期から発信されていた。しかし国連からUNOMURUNAMIRという部隊が派遣されていたのにもかかわらず、その警報は軽視され、衝突を予防するような措置はほとんどとられなかった。これは国連内でソマリアでの紛争予防の失敗を受けて、紛争の予防措置をとることは新たな紛争の火種になりかねないのではないかという懸念があったためである。ルワンダに残って活動を行っていたUNAMIRに強制行動の権利を与えられることはなかったのだが、この決断は裏目に出て、大虐殺をみすみす許してしまう結果となってしまった。

☆早期警報、早期行動が求められるようになった所以です。

 

 

 

 

4、マケドニアでの紛争予防の成功要因は何でしょうか?

 

<解答例>

1紛争の拡大の危険性が早期から認知されていたこと

近隣国のスロベニアとクロアチアでの民族紛争の発生をうけて、旧ユーゴスラビアのほかの地域へも民族対立の連鎖反応が起こるのではないかという懸念が早い段階で表明されていた。つまり民族の問題で複雑な旧ユーゴスラビアで他地域が民族紛争を起こしたことからその戦禍がマケドニアに飛び火するのではないか、という危険性が早い段階で指摘されていたのである。

 

2.マケドニア自らが早期に軍事監視団の展開を要請したこと

マケドニア自身が紛争の戦禍が自国におよぶ前の早い段階で国際社会に助けを求めたことが紛争の予防に役立った。マケドニア大統領はブトロス・ガリ国連事務総長(当時)に対して軍事監視団の展開を要請する書簡を送ったのである。

 

3.要請をうけてからの行動が素早く行われたこと

この書簡の送付から約1ヶ月間のうちに調査団がクロアチアに送られて現状の確認が行われた上、国連保護軍(UNPROFOR)の派遣の提案とその承認が行われ、UNPROFORは派遣された。

 

◎いずれにもあてはまることは「早い」ということである

紛争を予防する上で早さはなにものにも代えがたい。また、以上のうちひとつでも欠けていたらこれほどまでに効果的に紛争を予防できたのか疑わしい。ルワンダにおいて早期から紛争の拡大の危険性が認知されていたにもかかわらず、その予防をする部隊の展開が素早く行われなかったために紛争の発生を予防することができなかったのがそのよい反例といえるのではないだろうか。早期から紛争の起こる危険性を周りに知らせ、紛争当事者からの協力を得ながらすみやかに紛争の予防措置をとる。この一連の流れがマケドニアでの紛争予防につながったのだろう。

☆ルワンダでの失敗要因がそのまま、成功要因となっています。すなわち、早期警報、早期行動が効果的に働いた好例だと言えます。

 

 

 

 

 

 

5、紛争を予防するための課題としてなにが挙げられるでしょうか。3つあげてみましょう。

 

1.共通理解の創設

紛争予防は何を目指すのかという目的、紛争予防を行うのはどこかという実施主体、何を用いて行うのかという実施手段、紛争予防を行う紛争はどんなものかという適用対象などといった最小限の事項について共通理解が形成される必要があるのではないだろうか

 

2.連携の確立

 複数の主体が独自の行動をとれば、行動面で混乱も生じかねないし、効果の面でも逆効果になりかねない。それらの主体が連携を確立し、共にひとつの活動を行ったり、役割を分担して活動することが一番望ましい形であろう。

3.早期警報と早期決断

紛争を予防するためにはまずどこかで紛争が起こる可能性がある、という情報がなければならない。つまり紛争の早期警報があってから紛争を予防するための具体的な措置をとることができるのである。また、早期警報だけでなくそれを受けて、具体的な予防措置をとるという早期決断も加えて必要とされる。早期からの警報があっても実際に活動を行うという決断が早期に行われなければ警報に意味がない、とも言える。早期警報と早期決断の連携が必要なのである。

 

解答例作成者:鹿取徳和(BG4章担当)

 

 

以上、課題の解答例です。質問等があれば、解答例作成者に直接聞いてもらってもよいですし、近藤に尋ねてもらえれば、お答えします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆提出期限から遅れてしまったものでも、提出してもらえれば添削してお返しします。

メールでの提出でも結構です。(betsy_mayumi@yahoo.co.jp