Contents

 

論点:Introduction

1.      一般事項及び適用範囲                            p.2

2.      対人地雷に関する一般的措置                 p.3

3.      その他                                                    p.4

 

I.             What is「対人地雷」?                                         【議長案の対象】

1.      正の面                                                    p.5           JKM 6. 8. 9.

2.      負の面[1]                                                   p.6           BC

3.      国家の役割                                             p.8           LN

                                                                                          7. 10. 11. 14. 15. 16. 17.

II.          International Society                                              QR 18. 19.

1.      国際人道法[2]                                            p.10         DFO 1. 12.

2.      特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)   p.11         6. 12.

3.      対人地雷禁止条約(オタワ条約)          p.13         EGOP 2. 3. 4. 5.

 

III.       Based on Charter of the UN                                  13.

1.       国際社会におけるルール                        p.15         @AHIK

2.       人道的な視点から                                  p.16         @A 1. 2.

 

資料:Resources

1.       オタワ条約への姿勢                               p.18

2.       各国の地雷についての現状                    p.19

3.       対人地雷問題に関する歴史年表             p.21

4.       参考資料                                                p.23


Introduction

論点

 

今回の会議はペアデリの形式を採る予定なので、論点を複数(2つ)設けた。会議の円滑化やペアデリによる混乱の回避などを考えると、これらの両方の論点に関する政策を、会議前にペア内で、十分に共有し、それぞれの担当者を決めておくことが望ましい。大学が違う等の理由で、その調整もままならない事態が発生する可能性は否定できないが、できる限りの最善の手段を選んで、意見をすり合わせておいて欲しい。

 


1.一般事項及び適用範囲

そもそも、なぜ対人地雷は規制されなければならないのだろうか?いや、それ以前に、なぜ発明されたのだろうか?この問いかけに対する答えこそが、ここで扱う論点となっており、その概念の例のいくつかは、ある程度具体的に、後々の章で触れることとなると思う。この論点について会議中に話し合う際には、BGで説明されていることをとりあえず中心にして[3]、自分たちの思惑の正当性を整理し、それに対立する概念の存在を認めつつ、それらに対しての説得性に富んだ反対意見、もしくは打開策を用意しておいて欲しい。

「適用範囲」と表現されているものに関しては、少しわかりにくいかもしれないが、今会議において結ばれるであろう取り決めが、一体どの範囲の問題までを含めるかということなどであって、どこの場所で使用できる/できないかを決めるといった方向性の話し合いというわけではないということだけ確認しておく。つまり、この論点では、対人地雷についての大まかな理念を確認し、国家としての役割の、より詳細で具体的なことについては、次に紹介する論点において話を進めてもらいたいと思う。

 


2.対人地雷に関する一般的措置

対人地雷禁止条約(オタワ条約)[4]では、これらは全て「禁止」という扱いだが、現在のところ、その加盟国は量的には充実してきてはいるものの[5]、米国、ロシア、中国など、対人地雷生産国の中心的な国々[6]や、アフリカ、アジアで紛争を継続している国々など[7]は、その流れとは異なる政策を採っており、国際社会全体を視てみると、対人地雷の問題は収まりつつあるどころかますます激しさを増しているようにも感じられる。

対人地雷を規制する条約としては、他に特定通常兵器使用禁止制限条約[8]CCW)の議定書U(改定)[9]が存在しており、オタワ条約に加盟していなくともこちらに加盟している国は何カ国か存在する。しかし、この条約は、現状ではオタワ条約に比べ、適用範囲が狭いこと、罰則規定が厳格でないこと、締約国に課せられる義務そのものが軽いことなどが挙げられ、現在の地雷問題に十分に対処できるとみなされているとは言いがたい状況にある[10]

今回の会議は設定を「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約の履行」としているが、単にオタワ条約の履行を求めるという現実の国連総会第一委員会の会議の結果[11]をなぞるものではなく、特に対人地雷廃絶を目指す立場で参加する大使の方には、むしろCCWの再検討会議のように[12]、オタワ条約の署名、批准を済ませていない国に対して、可能な限り近似した取り決め作成し、遵守させる方法を考えてもらいたい。一方で、対人地雷の規制をそれほどまでに望んでいない、むしろ規制をかけられたくない大使の方々には対人地雷の正当性について考え、主張してもらいたい。

確認しておくが、論点の名称は「禁止」や「規制」となっていない。このことで示されているように、もし、結果として、オタワ条約よりも厳格な取り決めが約束されようとも、あるいは、全く対人地雷が野放し状態になってしまおうとも、それが結果として産出されたならば、会議監督はフロアの意思を尊重したい。現実的な国際社会の動向にこだわらず、可能な限り問題を柔軟に捉え、自分たちなりの結論を見出して欲しい。

 

3.その他

ここで挙げられる以外の問題、論点についての話し合いも、原則としては認めようと思う。しかし、その話し合いの必要性については、当企画の会議時間と相談しながら判断して欲しい。まず、上に記した二つの論点の話し合いをすること、そして、それが一通り終わって、もし時間が余れば、その時間を有効に活用するべく、各国の大使の方々は、積極的に正規の論点外の材料を用意しておくのが好ましいだろう。

例)

     被害者のリハビリ

     地雷撤去

     教育

     開発、復興支援

     国際協力

など

 



What is「対人地雷」?

 


I

 
もし、国際社会が本当に平和を追求しているのであれば、なぜ、地雷を持ち続ける国家が存在するのだろうか?逆に、それらの国家からの見解からは、なぜ、いとも容易く地雷を廃棄する国家が、しかも、数多く存在するのだろうか?といった疑問が生まれてくるかもしれない。その答えが、今回のシミュレーションで、最も主要な対立となるであろう論点となることが予測されるので、参加者はこの点に対する意見、理論の正当性、あるいは弱点をよくよく考えて会議に臨んで欲しい。

 


1.正の面

対人地雷が、あたかも悪魔の兵器のような呼ばれ方で嫌悪され、直ちにその撤去が必要だというような考えが声高に叫ばれている昨今ではあるが、実は、カンボジアなど、部分的な世界での撤去作業しかはかどっておらず、単純に世界中での使用量と撤去量を比較すると、前者が後者の二倍になるとも言われている[13]。この状況を作り出す、地雷に対するニーズについて見ていきたい。

まず、一つの理由として挙げられるのが、他国に対する戦略的な目的だろう。今回の会議で配布する予定の議長案においては、前文JKMと主文6. 8. 9. が、特に関連があるように思われる。前文Jと主文6. 8. においては、その目的の達成を正当化するために、「自衛権」の存在を中心にして論付けている。つまり、「国連憲章第51条で自衛のための武力行使が認められている[14]以上、そのための軍備の確保は理論上保障されるはずだ」ということである。確かに、条件付ではあるが、武力行使を認めている以上、各国政府は全ての軍備を完全に放棄するよう要求されることも、その必要性に迫られることもないだろう。

では、前文KMと主文9. についてはどうであろうか。ここでは、インド、パキスタン間におけるカシミール紛争や、韓国とDPRK[15]間に生じている朝鮮半島における事例をイメージしてみるとわかりやすいのではないだろうか。簡単に説明すると、この二つの国際紛争は現状とは比べ物にならないほどの被害を算出する可能性を大いに含んだものであったが、様々な抑止力が働き、一方の国が他方の国を壊滅や征服するなどといったような、全面的な戦争に発展するという事態には至らなかった。その理由の一つとして対人地雷の存在が挙げられる、というような理論である。

後にまた触れることになると思うが、地雷が人道に反する兵器であるといわれる理由の最たるものとして、それらが人々を殺害することを目的として生産されているのではなく、身体障害者を多く生み出すよう設計されているという事実がある。戦死した兵士に対しては、軍はその死体を見捨てる選択肢をも持ちうるが、傷ついた兵士に対しては、そのように対処するわけにはいかず、彼らを救出するための労力、そして、時として新たな犠牲を払わなければならなくなる。また、無事救出できたところで、その兵士がその後生活していくうえでの様々な援助をしてやらなければならないこととなり、その費用の負担などを考えると、各国政府は地雷原に進軍することを、どうしてもためらいがちになるといえる。このことが、各国に進軍を思い留まらせ、一応の紛争の悪化についての歯止めになっている。

近年では国家間紛争と同様の理由で、各国の内戦でも使用されるケースが確認されており[16]、特にアンゴラ、コンゴ民主共和国、ソマリア、スーダン、アフガニスタン、ミャンマー、インド、ネパール、フィリピン、スリランカ、グルジア、ロシア、パキスタン、コロンビアでの使用が報告されている[17]。ここに挙げられていない国についても、地雷の効果は長期にわたって残留することを鑑みれば、他にも実質上使用しているとみなされる国も多数存在するだろう。このように、地雷に依存している国の大使を務める参加者はもちろん、そうでない者も、地雷の必要性について深く考察して、会議に参加して欲しい。

2.負の面

次に、地雷の抱える問題点についての理解を確認してみよう。対人地雷に関するデータは、様々な主体によって使用されているということなどの性質上、必ずしも正確であるとは言い切れないが、世界中に、4500万〜5000万個[18]とも、1億個以上[19]も埋蔵されているとも言われている。中でも、アフガニスタン、カンボジア、アフリカ各地、バルカン地方での被害が大きく、特に、無防備な婦子女など、非戦闘員に対しての無差別な被害が深刻になっている[20]。このような被害をもたらす原因として、その価格の安さや時間に対する耐久性が重要な要因として挙げられる。報告では、一個当たり310ドルで製造でき、50100年とも言われるほどの長い年月を耐えうるこの兵器は、一年間で24,000人以上の犠牲者を出しているとのことである[21]

このように、製造、設置は容易に行えるのだが、カンボジアの地雷除去にはなお300年の月日が必要であると言われているように[22]、それを撤去するにあたっては、多くの困難、危険が付きまとい、結果、設置の何倍もの時間が必要とされる。この性質が、被害国の人権の保障を大きく阻害し、土地の開発を妨げるなど、最近まで紛争続きであった国々の、戦後の復興の大きな障害となっている。

今回配布することとなる議長案においては、前文BCで主にそれらのことについて触れられている。決議の作成に不慣れな場合、一体どの程度のこと(文言)までなら国家として許容できるのであろうか、などといった疑問が付きまとうこととなるだろうが、その点については全く複雑に考える必要は無くて、簡単に言うなれば、「無理のない範囲内での解釈は自由である」というように考えてもらえればよいかと思われる。例えば、イラク戦争の時には米国は安保理決議1441の中の、「イラクにとって深刻な事態を招くことになる」といった趣旨の文言を根拠にして、イラク戦争の開戦に踏み切った。「イラクにとって深刻な事態を招くことになる」といった趣旨の文章を突き詰めて考えていくと、究極的には政権打倒にもつながるという点も含みうると推定できるという理論である[23]

だからこそ、諸問題に対して規制をあまり求めない国は、それらの権利を制限するような文言に関しては明確な表現の使用を可能な限り回避し、いわゆる「具体的な意味のない」決議を採択させることで自分たちの行動の社会的正当性を得ようとする。国際会議で認めた取り決めが緩いものであればあるほど、国際社会がその問題に対して無関心であったと判断され、それについての重大な問題が起こった際の、その当時国としての責任も比較的分散されやすくなると言えよう。なぜなら、そのような経緯でまとめられた国際的合意では、加盟国全体でその責任の所在をぼやかしたというようにも判断され、必ずしもその当事国のみの責任と断言できる状況を作り出すことができなくなるからである。また、そういった意味において、逆に、規制の厳格化を求める国々としては、なるべく明確な言葉で、文言が直接的に何を意味するのかが率直に判断できるような文体で決議を作成していくのが好ましいと言えそうである。

それぞれの国の戦略に基づいて、いずれの形態の決議案を作成するも自由であるが、意味のない文言を作ることだけは絶対に避けて欲しい。ここで言う「意味のない」とは「文言そのものが深い意味を孕まない」ということではなく、「その文言を決議に載せることが、担当国にとって直接的、間接的に、大した意味を持ち合わせるものではない」ということを本旨としている。つまり、「ただ何となく体裁を整えるためだけに書いてみた」といった類のものを指している。国際連合の会議で作成され、採択される決議、それは全加盟国、そして、ほぼ全世界の60億もの人類に対し向けられたメッセージであるという、なにものにも比べがたいほどの重さを伴うものであるということを忘れず自分たちの主張を形にして欲しい。とはいっても、今回に限っては、新メンの方はあまりそのことに気にせず、とりあえず、自分の想うことを表現し、形にすることを最優先の目標として動いてくれればよいだろう。


3.国家の役割

これまで、対人地雷の必要性と害悪について記述したが、今度は、そのような両面からの見方を含有する対人地雷に対し、国家はどのように向き合うべきなのかについて記したい。目次のページには、ここでの記述に関連のある決議案の文言として比較的多数の文章を挙げているが、実際のところ、関連する文言は決してこれだけに留まらず、この議長案の全てが当てはまるともいえる。それは、国家レベルでの参加を基本とした国連会議の性質や、国連憲章に明記されている国民に対する国家の役割から十分に想定されるだろう。ここでは特に、議長案の中で区分し難かった文言についてまとめて扱おうと思う。

まず、議長案の主文7. に目を通して欲しい。このBGの第3章でも説明するが、ここでは、国連憲章の原則の部[24]に明記されているように、「内政不干渉」に立脚した考え、つまり、市民の生活の保証は、一義的に、それらの帰属する国家の政府の下にあり、当然に政府は国民の生活を守らなければならない。それと同時に、それゆえに、その内政については他の国からの干渉を拒む権利を有するということがいえるという構想に基づいている。もし、自国民の生活を保護するために、対人地雷が絶対的に有効な「必要悪」であるなら、その使用の正当性も一部認められるべきであろう。

しかし、その考えが仮に認められたとしても、国家はその「必要悪」に依存する以上、その「悪」の部によってもたらされる弊害については何らかの責任を担わなければならないだろう。そこで、議長案では、特に前文L主文10. 11. において、それらの点について触れておいた。この文言自体は、実際のところ実効性に富んだものであるとは判断しがたいように思えなくもない。従って、もし可能なら、会議中にフロアでより明確で、より強い効果が期待できるような形にしてもらえれば幸いである。

特に、オタワ条約未批准国など、消極派の対人地雷問題に関する「国家の役割」として最も期待できそうな対応の一つとしてモラトリアムの実施が挙げられる。ここで言う「モラトリアム」とは一言の日本語に直すなら、「一時停止」という表現が適合しそうである。例えば、対人地雷の生産や輸出入を一時停止することなどを想像すれば理解しやすいのではないだろうか。この実施による効果として見込まれるのが、単純に対人地雷の供給の減少が挙げられるのだが、そのことによる二次的作用として、対人地雷の流通が見えやすくなるという点が挙げられるのではないだろうか。例えば、A国が、自国の地雷を輸出することを停止した結果、紛争中のB国における新たな地雷の埋設量が減少したとするなら、B国で使用されていた地雷とA国の地雷との間に何らかの関係があったかもしれないという可能性を考える際の一つのヒントともなり得るといえるであろう、ということである。公式に対人地雷の輸出に関するモラトリアムを初めて宣言したのは、19921023日に世界初の対人地雷輸出凍結法(1年間)を議会で成立させた米国である。また、同時期の、NGOの活動などを含めた、国際世論などの対人地雷に対する反対運動も激しさを増し、ICBLの発行する “Landmine Monitor” によると、ついに2000年には対人地雷の商取引が完全に停止され、2002年の段階では、イラクを除く全てのオタワ条約未批准国が地雷の輸出の停止、あるいは禁止についての公式な声明を出したという状況が整った(現在では、すでにその有効期限が過ぎている国もあり、また、ロシアや中国などはCCWの規制に従った形で、探知不可能な地雷と自己破壊装置のついていない地雷の輸出にのみ適用しているなどの問題の存在は否めない。しかし、基本的には1995年からは、ロシア、中国に関しては大規模な輸出は行っていないといわれている[25])。

次に、各国のオタワ条約に対する姿勢について触れる。まず、BGの「資料:Resources」編の1. の表に目を通してもらいたい。これで、大体の国の立場がイメージできると思う。とはいっても、特に条約未署名国の立場は、必ずしも一辺倒ではないので、いつでも参考になるとは限らない(今回のオリ合宿では、国の政策にあまりこだわらなくても構わないが)。公式には、現在では全ての国々が包括的な禁止が望ましいことに実質的に同意している状況ではあるが(もちろん、「公式」であって、必ずしも本心でない国も存在するのだろうが)、実際にはオタワ条約の早期履行を求めても必ずしも明確な拒否反応は示さなくても、消極的であれ、やはり賛成はできないという国々が多々存在している[26]。議長案の主文16. 17.[27] は、特にそれらの国々の担当者にとって、ジレンマに陥らせられるようなものであると思われるので、少しだけ会議監督的考えを意見させてもらう。この類の判断を下す際には、とにかく、頭の中に天秤をイメージするとわかりやすくなるのではないだろうか。もし、本当にオタワ条約に、早期に批准する気がないのであれば、賛成する必要はなく、本当は早期批准をしたいのだが、諸事情でそれが叶わないというのであれば、その文言に賛成すればよい。もちろん、先ほどにも述べたが、公式にはどの国もオタワ条約が好ましいというように表明しているので、「本音と建前」の関係上、その点とは相容れないような論理の説明ではあるが、基本的にはそう思ってもらって構わないだろう。

最後になるが、議長案の主文15. にある、取り決めの遵守と透明性の確保について記す。これは単純に、いかに厳格で有効な取り決めも、それを守らないなら何の意味も持たないということで、設けておいた。ここで、問題となるのが、国家主権の侵害の禁止や内政不干渉などといった国連の諸原則ではあるが、詳しくはBGの第3章を参考にしてもらいたい。文言自体は目を通せば、その内容についてはイメージできると思うので、説明は省略するが、できれば、これも会議において推敲し、より完成度の高いものを考案して欲しい。例えば、罰則規定を設けるなどというのも一案ではないだろうか。

以上で、簡単ではあるが、対人地雷に関する説明を終える。では、次章においては、それらを取り巻く国際社会の取り決めについて見ていきたい。

International Society

 


II

 
これまでに国際社会は様々な場面で、時には協力し合い、時にはある特定の状況にある国家に対し圧力をかけるなどして、国連憲章に明記されているような、国際連合の目的[28]を果たすための努力を継続してきた。具体的には、例えば、今回の会議の論点でいう「その他」の項目に議長案として含ませているような、純粋な意味での国家間協力[29]から、各国に対し、ある条約を締結、遵守させるように仕向けるというものまでも含まれる。この章では、今会議での交渉に役立ちそうな、既存の国際社会の枠組み、スタンスについてまとめておく。

 


1.国際人道法

「国際人道法」という言葉が一般化されたのは、1971年に国連と赤十字国際委員会の協力で行われた「武力紛争に適用される国際人道法の再認識と発展」のための政府専門家会議でこの名称が正式に使用されてからであると言われている[30]。その内の一つが、議長案の前文D[31]で記されている、いわゆる、第四条約[32]の第一議定書[33]である。この議定書は、人々の平和への熱烈な希望への対処、国連加盟国がその義務に服すること、武力紛争の犠牲者の保護、などを主たる目的として協定された[34]。今回の会議において、特に関連深い条文は、第351項、2項及び、第514項、5項である。その内容を以下に抜粋する。

 

351項:いかなる武力紛争においても、紛争当事国が戦争の方法又は手段を選択する権利は、無制限ではない。

2項:過度の危害、又は不必要な苦痛を生じせしめる性質を持つ兵器、投射物及び物質、並びに、そのような戦争の方法を用いることは、禁止する。

514項:非戦闘員に対する無差別攻撃はこれを禁止する。及び無差別兵器の使用は禁じられる。

5項:期待される具体的かつ直接的な軍事行動に比して過度の付随的な文民の生命の損失、文民に対する危害を生ぜしめると予想できる攻撃は禁止する。


数字のみで判断するならば、この条約、議定書はともに普遍的で、有効な取り決めであると判断できそうであるが、実際には必ずしも十分に遵守されているというわけではないそうだ。その理由の一つとして、この取り決めには、締約国が遵守を怠った際に課す罰則規定を設けていないという点にあると言われている[35]

また、前章で述べた通り、対人地雷が人々を殺害することを目的として生産されているのではなく、身体障害者を産み出すよう設計されているということを鑑みながら、この条文を考えてみると、ここで想定されている規制するべき対象は、対人地雷に他ならないような気がしなくもないが、やはり、「地雷」という決定的な表現が使用されていない以上、直ちに地雷を禁止しなければならない、というような主張を展開することには多くの困難が付きまとうことが予想される。しかし、裏を返せば、対人地雷が条約文中の内容に当てはまるような兵器であると認めざるを得ないような状況にすれば、全世界的な対人地雷の禁止の実現化が急接近することとなるであろう[36]。対人地雷の廃絶を目標とする国を担当する者は、それを達成するための理論を考えておいて欲しい。逆に、その立場とは相容れない政策を採っている国は、決して「駄目なものは駄目」というような歯切れの悪い「拒否」ではなく、国家の威信に懸けて、建設的で説得性に長けた主張、反論を展開して欲しい。

いかなる問題も、それを引き起こしているのが人であるなら、全ての人々がある程度納得、又は、許容できる範囲内での解決策を見出すことができるであろう。国際会議の真の目的とはそれを達成することにあるのではないだろうか。「No!」というのは簡単であり、時に国家としても必要なことである。しかし、さらに大切なことは、その「No!」は一体何が原因で「No!」なのかを考え、そしてさらに、どのようにすれば「Yes.」になるかを考えていくことではないだろうか。参加者は、その点に注意して交渉を行い、会議に目一杯参加し、楽しんでくれれば幸いである。

2.特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW

第四条約の第一議定書は、その発効が優先されたために、結局「対人地雷」という言葉が入らないまま採択された。国際社会の対人地雷の規制については、国際人道法とは別枠での規制を設ける流れへと発展し、そして、1980年にはCCWが、その議定書T、U、Vとともに採択された。対人地雷に関する規制を設定したのは、その内の議定書Uであり、世界レベルでの対人地雷の規制の形は整ったかのようにも見えたが、この議定書に参加したのは、発効から10年が経過した1990年時点で、わずか30カ国程度であり、しかも、対人地雷問題について主要な役割を担うべき国家の参加が著しく消極的であった。内容を簡単にまとめると、文民に対する又は無差別な地雷などの使用の禁止や、地雷の設置場所の記録などについて規定している程度であり、その適用範囲の狭さや、管理体制が確立していないことなどの条文上の欠点が目立ち、実効性の低い内容のものであった。

しかし、90年代に入ると、国際社会の対人地雷の規制についての機運の盛り上がりの兆しが見えてきた。赤十字国際委員会(ICRC)、ブトロス=ガリ国連事務総長(当時)、クリントン米大統領(当時)などがイニシアティブをとって対人地雷問題への取り組みの必要性を訴え、95年にはCCWの第一回目再検討会議がウィーンにおいて開催され、CCWの強化が図られた。だが現実には、それぞれの利益を追求する大国が会議を停滞させ、会議の進展は見受けられなかった。そこで、危惧を抱いたNGO団体は、96年の再検討会議に際しては非公式な会合を開催し、そこで話を進めるよう一部の国家とNGOに呼びかけた。その成果として、96年に採択された改正議定書Uに以下の内容を含む事柄[37]が組み込まれた。

·           適用範囲を、国際的性質を有しない武力紛争に拡大[38]13項)

·           探知不能な対人地雷の使用禁止など(4条、Annex 2

·           自己破壊装置などのない対人地雷の原則的な使用の禁止など(210項、52項、Annex 3

·           使用が禁止されている地雷の移譲の禁止(81a

·           地雷などに関する情報の記録及び利用など(9条、Annex 1

 

ここで、「自己破壊装置」を備えた地雷について触れているので、少し説明を挟む。この種の地雷は、いわゆる「スマート地雷」といわれるもので、その名の通り、自爆装置を備えたハイテク地雷である。この地雷は、元来主張されているような地雷に関する弊害を大幅に減らせられる可能性を含んでいる。だが、いくつかの問題も含んでおり、例えば、その装置の信頼性や、実際に撤去が容易になるかについての疑問、そして何より、費用が高くなる、ひいては裕福な国家しか地雷を使用できなくなるという結果になることが予想されている。このような装置は、他には、CCWでは自己無力化の装置なども記されている。

改正以前の議定書の内容についてはここでは触れないが、これらの改善がなされたことについては、対人地雷問題の対策について一定の前進が見られたと評価することも可能だろう。しかし、「禁止」や「廃絶」からは程遠く、閉会に際しては、ガリ国連事務総長やICRCからは、「新たに規制を設けるにあたり、人道的必然性よりも軍事的配慮を優先させた」という非難の声も聞かされた。これについては、CCWの会議は全会一致の方法での採択を義務付けているという性質が一因として挙げられるだろう。大国が会議に参加することは、多くの場合で必要不可欠ではあるが、このような会議には、必ずしも適さないといえるようにも思える。いずれにせよ、ここでの「教訓」が、対人地雷の禁止について積極的な国々とNGOにオタワ・プロセス[39]の構想を抱かせることとなるといえそうである。

3.対人地雷禁止条約(オタワ条約)

今回の会議で設定されている議題名からも推測されると思うが、対人地雷の規制のための国際的取り決めとして、現在最も進展しており、かつ有力な地位を占めているのがこの条約であろう。批准済:141カ国、署名済/未批准:9カ国、未署名国44カ国[40]のこの条約は、CCWの部で述べたが、CCWの再検討会議が一部の国家やNGOにとって、あまりにも円滑で無さ過ぎたために、彼らによって、半ば独立して作成された。

結果的に、必ずしも多くの進展が見受けられなかった1996年のCCWの再検討会議ではあるが、それでも、一部の国家がNGOと協力して、積極的に禁止に向けて動きだしたという点は、対人地雷問題に新たな光を射したというべきであろう。事実、そのときの国家の多くが中心となり対人地雷の禁止を強く訴えたこともあって、オタワ条約は、オタワ・プロセスの始まりであるといわれている199610月のオタワ会議[41]から、わずか12ヶ月後の199712月には、調印式を迎えることができた。ここで、その経緯を記述しておく。

19961月の再検討会議の後、同年4月には再び、ジュネーブにて、再検討会議が開催された。その場においても前回と同様の非公式会合が開催され、ここでカナダ政府により、1996年の秋に、オタワで地雷禁止推進国による会議を開催することが提案された。その提案は多くの参加国に受け入れられ、同年の6月には、オタワの会議に向けた、NGOと政府代表の会合が執り行われ、その会合では、結論として「CCWで全面禁止を模索するのは、非現実的な選択」であることが確認され、以下の合意がみられた。

·           対人地雷禁止条約作りでは全会一致制を採らない

·           条約には最初から多数の国が参加しなくてもよく、条約を作ることに重点を置く

これらは、CCWの会議とは相反する内容であり、その狙いは、主に会議の円滑化であったが、同時に、全面禁止を本当に支持している国や、早急に禁止する意欲を持つ国を見極めるという目的も含んでいた。

199610月には予定通り、オタワ会議が開催され、ここで、199712月にはオタワで外相レベルの会議を開催し、そこで条約の調印式を行うという目標が掲げられた。そして、翌年の19979月には、かねてより、オタワ条約の原案となる「オーストリア案[42]」を用意していたオーストリアなどを中心に、オタワ条約の条約文をまとめる会議がノルウェーで開催され(オスロ会議)、同年の12月には、オタワ条約の調印式を迎えるに至った。

以上が、オタワ・プロセスの流れである。ここで、その締約国が条約によって求められることとなった義務について簡単にまとめておく。

·           一般義務として締約国は、研究用、訓練用の地雷は必要最低限度において、例外として保有、移譲が認められるが、それ以外は、対人地雷を、いかなる場合にも、使用、開発、生産、取得、貯蔵、移譲してはならない。(1条、3条)

·           対人地雷の貯蔵分は4年以内に、埋蔵分は、原則として10年以内に破壊しなければならない。(4条、5条)

·           締約国は、条約の遵守、調査査察などについて義務を負い、その透明性を確保するために、事務総長に、国内法の整備、貯蔵地雷、地雷敷設地域を含む事柄についての報告書を提出する。(7条、8条)

·           この条約の効力は無期限に発生し続ける。また、脱退に関しては、通告から六ヶ月が経過し、且つ、その時に当事国が武力紛争に巻き込まれていない場合においてのみ認められる。(20条)

 

この条約に絡んだ欠点の最たるものは、米国、ロシア、中国などの軍事大国(地雷生産国)や、韓国、DPRK、インド、パキスタンなどの地雷使用国の「主役」たちは、自国の安全保障などを理由に、いまだに条約締結に対し消極姿勢を崩さないという点にあるだろう。CCWでの「全会一致の壁」という教訓を活かすために採った方針が招いた弊害であるといえ、この点に関し、「締約国が廃棄を進めても、全世界的な撤去には到底結びつかない」と失望するNGOも存在する。最も基本的なことであろうが、対人地雷を禁止するに当たっては、現に使用を許可している国の存在を無視することはできない。参加者各位には、その点を踏まえ、一国の代表としての自分が、どのような行動を採れば対人地雷問題が落ち着くであろうかということをよく考えて会議に臨んで欲しい。


Based on Charter of the UN

 


III

 
国連憲章は「世界の憲法」と表現されることがある。会議監督は法学部の学生なので、憲法にもそれなりに縁があるはずなのだが、実はあまり身近なものとして感じられない。というように、普段我々は、国の基本的理念という、厳かなルールについてあまり意識せずに生活しているのではないだろうか。しかし、もし我々が国会議員であるならば、憲法には敏感でなければならないだろう。国連でもそれは同じで、我々は、会議での提案に際しては憲章にその根拠を見出すべきである。この章ではその方法について記そうと思う。

 


1.国際社会におけるルール

国連憲章第1章は国連の目的及び原則を制定している。以下に参考のため、目次、議長案でも記述した、今回の会議と特に深く結びつくように思われる条文を列挙する。

 

1 国際連合の目的は、次のとおりである。(前文A)

3   :経済的、社会的、文化的又は人道的性質を有する国際問題を解決することについて、並びに世界平和を強化するために他の[43]適当な措置をとること。

2 この機構及びその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当たっては、次の原則に従って行動しなければならない(前文H)

1   :この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。

4   :すべての加盟国はその国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しないほかのいかなる方法によるものも慎まなければならない。

7   :この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではなく、また、その事項をこの憲章に基づく解決に付託することを加盟国に要求するものでもない。但し、この原則は、第7条に基づく強制措置の適用を妨げるものではない。

 

この会議に限らず、国連憲章はどの会議でも必ず有効に活用しなければならないと思われるので、このBGを読み終えた後にでも、少し自習しておいて欲しい。第1条の目的については、後ほど扱うこととして、ここでは第2条の原則を中心に解説する。

二度にわたる世界大戦を経験した国際社会は、国際の平和及び安全を維持する[44]ために、国際連合を設立した。その目的を達成するために、第2条では、国際法の世界で、いわゆる「強行規定(jus cogens)」と呼ばれるようになる諸原則を定め、特に4項では、正・不正の判断できない武力行使は、基本的に全て違法とみなし、禁止するという、「国連憲章における平和の礎石」(ハンフリー・ウォルドッグ)を築いた[45]。そして、その体制を保つために、例えば、1項、7項が設定され、全ての加盟国の平等と内政不干渉の原則が確立された。わかり易く言うなれば、前者の代表的な例として、国連総会においては、いかなる国家も一国一票の権利のみしか与えられないということが挙げられ、後者に関しては、具体的な事例は挙げにくいが(反例なら多数挙げられるが)、例えば、ロシアにおけるチェチェン問題や、中国においては少数民族や台湾問題などが、しばしば国際社会で取り上げられることがあるが、両政府は、それらの問題は国内的なことであり、他国は干渉するべきではないという態度をとり続けているということなどが挙げられるだろう。

これらの原則を、今回の議長案では前文Hの他には、前文IKの根拠として活用している。[他国からの武力、非武力による干渉を受けない=各国はそれぞれの国についての一義的な責任を保有する]という解釈の下に考案した文言であり、自国を対内的、対外的の両方の脅威から保護することについての、国家の責任を趣旨として作成した。

2.人道的な視点から

これまで、「原則」についてごく簡単に解説したが、その「原則」について何らかの矛盾や違和感を覚えなかったであろうか?個人的には、特に昨今の国際情勢を見ていると、その矛盾が急速に拡大しているように感じられてならない。例えば、コソボ紛争であれ、イラク戦争であれ、その法的正当性を欠いたまま(原則に反して)ことが運び、終結してしまったように思われる。そもそも、国際会議を開き、各国が他国と交渉をし、結果として何らかの要求をすることになるという実情を鑑みると、もはやそれらの諸原則が厳密に遵守されるということは不可能なのではないだろうか。

国際社会がこのような状況に行き着いた理由の一つとして「グローバル化」というキーワードが挙げられるだろう。これについても詳しく記述するほどの余裕がないので、冷戦以降の国際関係についての文献を読んでもらえるとわかり易いと思われるのだが、ここでは簡単に、人道問題に関するグローバル化について記す。例で挙げたが、コソボ紛争もイラク戦争も、その正当性の根拠の一つとして、それぞれの土地での市民に対する政府の非人道的政策が挙げられた。米国を中心とする多国籍軍は、このために武力行使を禁じた「強行規定」を侵し、その行動に着手したわけではあるが、当然のことながら、その正当性についての論議が活発に行われることとなった。ここで、武力行使支持派にとって大きな壁となったのが「原則」であるが、彼らの主張する理論には以下のようなものが存在する。

上に抜粋した、国連憲章の条文の「目的」(第1条)をもう一度読んで欲しい。そこでは、まぎれも無く人権の保障が謳われている。方や目的であり、方や原則であり、それらがお互いに協調できないような状況にある場合、どちらを優先するべきであろうか。「原則は目的を達成させるための指針として存在するべきである」というような見地から判断するならば、このような場合には原則に対する例外を認め、本来の目的を達成させることを優先するべきであると主張するほうが論理的なように感じられる。

協調できない「強行規定」が二つ並存したとき、我々は様々なファクターを天秤に掛け、どちらを優先するべきなのか、あるいは、どのように解釈するべきなのかを可能な限り柔軟に考えて、最も説得的な理論を組み立てることが必要になるだろう。

今挙げたもの以外で、今回の会議で活用できそうな国連憲章の条文としては、自国民の生活の保護、そのための国際協力、また、軍縮問題に対する国連総会の持つ権限の正当性についてなどが挙げられる。これらは、議長案の前文Aに列挙してあるが、詳細は記していないので、まとめてここに抜粋しておく[46]

 

55[47]  :人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の平和的且つ友好的関係に必要な安定及び福祉の条件を創造するために、国際連合は、次のことを促進しなければならない。

                            a 一層高い生活水準、完全雇用及並びに経済的及び社会的の進歩及び発展の条件

                            b 経済的、社会的及び保険的国際問題と関係国際問題の解決並びに文化的及び教育的国際問題

56          :すべての加盟国は、第55条に掲げる目的を達成するために、この機構と協力して、共同及び個別の行動をとることを誓約する。

73          :人民がまだ完全には自治を行うに至っていない地域の施政を行う責任を有し、又は引き受ける国際連合加盟国は、この地域の住民の利益が至上のものであるという原則を承認し、且つ、この地域の住民の福祉をこの憲章の確立する国際の平和及び安全の制度内で最高度まで増進する義務並びにそのために次のことを行う義務を神聖な信託として受諾する。

                            a 関係人民の文化を充分に尊重して、この人民の政治的、経済的、社会的進歩、公正な待遇並びに虐待からの保護を確保すること。

                            b 各地域及びその人民の特殊事情並びに人民の進歩の異なる段階に応じて、自治を発達させ、人民の政治的願望に妥当な考慮を払い、且つ、人民の自由な政治制度の斬新的発達について人民を援助すること。

111  :総会は、国際の平和及び安全の維持についての協力に関する一般原則を、軍備縮小及び軍備規制を律する原則も含めて、審議し、並びにこのような原則について加盟国若しくは安全保障理事会又はこの両者に対して勧告することができる。


Resources

資料

 

ここまで長々と続いた、議題解説は一応終わりです。本編の最終章に当たる、この章では、会議に向けて役立ちそうな情報、資料をまとめておきます。全てが時宜を得ているというわけにはいきませんでしたが、それでも今回の会議の準備をするに当たっては十分に活用できるだろうと思われますので、ぜひ参考にしてください。

では、政策立案、調整に励んでください。52223日に会議室でお会いしましょう。

 


1.オタワ条約への姿勢

 

Ratified

(批准日)

Signed/Not ratified

(署名日)

Not signed

Afghanistan

2002/9/11

Ethiopia

1997/12/3

China

Australia

1999/9/14

Haiti

1997/12/3

Cuba

Austria

1998/6/29

Indonesia

1997/12/4

DPRK

Bosnia Herzegovina

1998/9/8

Poland

1997/12/4

Egypt

Brazil

1999/4/30

Ukraine

1999/2/24

Finland

Cambodia

1999/7/28

 

 

India

Canada

1997/12/3

 

 

Iran

Colombia

2000/9/6

 

 

Israel

Croatia

1998/5/20

 

 

Libyan Arab Jamahiriya

Denmark

1998/6/8

 

 

Mongolia

France

1998/7/23

 

 

Myanmar

Germany

1998/7/23

 

 

Pakistan

Holy See

1998/2/17

 

 

Rep. Korea

Japan

1998/9/30

 

 

Russian Federation

Mexico

1998/6/9

 

 

Saudi Arabia

Mozambique

1998/8/25

 

 

Somalia

New Zealand

1999/1/27

 

 

Sri Lanka

Norway

1998/7/9

 

 

Syrian Arab Republic

Rwanda

2000/6/8

 

 

United States

Serbia and Montenegro

2003/9/18

 

 

Uzbekistan

South Africa

1998/7/26

 

 

Viet Nam

Sweden

1998/11/30

 

 

 

Thailand

1998/11/27

 

 

 

United Kingdom

1998/7/31

 

 

 

2.各国の地雷についての現状

·           地雷を生産している国の例(2001年)

China

Cuba

DPRK

Egypt

India

Iran

Myanmar

Pakistan

Rep. Korea

Russia

US

Vietnam

 

·           地雷を保有している国と備蓄数の例(2001年)

 

備蓄数

 

備蓄数

 

備蓄数

Brazil

34,562

India

500

Russia

7000

China

11000

Iran

不明

Syria

不明

Colombia

18,294

Israel

不明

Ukraine

635

DPRK

不明

Mozambique

37,818

US

1120

Egypt

不明

Pakistan

600

Vietnam

不明

Finland

不明

Rep. Korea

200

F. Yugoslavia

不明

(総数:100カ国の国々で23000万から24500万と推測[48]

 

·           地雷の被埋蔵国とその量の例[49]1997

 

地雷の数

 

地雷の数

 

地雷の数

 

地雷の数

Afghanistan

10,000,000

Cuba

不明

Rep. Korea

206,193

Russia

不明

Angola

15,000,000

Croatia

3,000,000

Libya

不明

Rwanda

250,000

Austria

不明

Denmark

9,900

Mexico

不明

Somalia

1,000,000

Belgium

不明

Egypt

23,000,000

Mongolia

不明

Syria

不明

Bos. Her.[50]

3,000,000

Ethiopia

500,000

Mozambique

3,000,000

Thailand

不明

Cambodia

6,000,000

India

不明

Myanmar

不明

Ukraine

1,000,000

China

10,000,000

Iran

16,000,000

Namibia

5,000

Vietnam

3,500,000

Colombia

1,500

Israel

不明

Peru

不明

F.Yugoslavia

500,000


·      地域別の地雷埋設量[51]1996年)

地雷の数

分布率

中東および北アフリカ

60,314,988

54.00%

東アジアおよび太平洋

23,500,000

21.00%

サハラ以南アフリカ

19,888,250

17.80%

中・東欧

7,617,000

6.80%

ラテン・アメリカおよびカリブ諸国

241,294

0.20%

中央南アジア

150,000

0.10%

西欧

26,842

0.00%

北米

0

0.00%

合計

111,738,377

100.00%

 

·           地雷の被害国の例[52]1996年)

 

国名

人口

地雷数

地雷/国民1

切断者数

切断者の発生比率

Afghanistan

2,210万人

1,000万個

0.45

35,000

631人に1

Bos. Her.

440万人

600万個

1.36

不明

不明

Cambodia

960万人

1,000万個

1

25,000

384人に1

Croatia

480万人

600万個

1.25

不明

不明

Ethiopia

5,330万人

50万個

0.01

8,000

6,663人に1

Mozambique

1,690万人

300万個

0.17

7,000

2,414人に1

Myanmar

4,470万人

不明

不明

6,000

7,450人に1

Somalia

854万人

100万個

0.12

不明

不明

Vietnam

7,90万人

350万個

0.05

60,000

1,182人に1

3.対人地雷問題に関する歴史年表[53]

1980                             非人道的兵器を規制する 特定通常兵器禁止制限条約(CCW)採択

1991

4.9                  米国のNGOVVAF(米国ベトナム退役軍人財団)が、ドイツのNGOメディコインターナショナルに対人地雷問題で連絡

11.                  VVAFとメディコインターナショナルが対人地雷全面禁止に向けてキャンペーンを立ち上げることで合意

1992

10.2                欧米の6つの団体が地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)をニューヨークで旗揚げ

10.23              世界初の対人地雷輸出凍結(1年間)法が米国議会で成立

1993

              1.28                米国のレーヒー上院議員からフランスのNGOハンディーキャップ・インターナショナルHICCW再検討会議開催に向けた協力要請の書簡が届く。CCWの枠内で対人地雷規制を強化するねらい

              2.11                仏ミッテラン大統領が、公式訪問中のカンボジアでCCW再検討会議開催を求めると公式発表

5.2426        初のICBL主催 NGO国際会議開催(ロンドン)

12.16              国連総会、CCW再検討会議の開催を決議

1994

2.283.4       CCW再検討会議に向けた第1回準備委員会(ジュネーブ)

5.                    2ICBL主催 NGO国際会議開催(ジュネーブ)

5.1627        CCW再検討会議 第2回準備委員会(ジュネーブ)

8.819          CCW再検討会議 第3回準備委員会(ジュネーブ)

9.25                米国クリントン大統領 国連総会で「すべての国が全面地雷廃絶に取り組むよう」訴える

1995

              1.920          CCW再検討会議 第4回準備委員会(ジュネーブ)

              3.2                  世界初の「対人地雷の製造、使用、輸出、移譲禁止法」がベルギーで成立

              3.1617        ICBLの拡大運営委員会(ローマ)9月のCCW再検討会議に向けた戦略及びその後の計画を協議

              5.12                欧州連合EUが対人地雷禁止に向けた初の「共同行動」を決定

6.24            3ICBL主催 NGO国際会議(カンボジア)

9.25                CCW再検討会議ウィーンで始まる(参加44カ国・非公式40カ国)

11.22              赤十字国際委員会(ICRC) 対人地雷禁止に向けた国際世論の啓蒙キャンペーンを展開すると発表

1996

              1.1519        CCW再検討会議 専門家会議(ジュネーブ)(参加43カ国・非公式33カ国)

              1.19                初のNGO・政府合同会合を開催(ジュネーブ国連本部)

              4.225.3       CCW再検討会議(ジュネーブ)(参加51カ国・非公式35カ国)

              4.22                NGO・政府合同会合(ジュネーブ)

              5.3                  第二議定書の改正を合意し、CCW再検討会議が閉幕

カナダ政府、秋に対人地雷国際戦略会議を開催することを発表

              6.11                NGO・政府合同会合(ジュネーブ)

              6.26                NGO・政府合同会合(ジュネーブ)

              10.1                EU、カナダでの対人地雷全面禁止に向けた国際戦略会議に合わせた第2回「共同行動」を決定

10.35          対人地雷全面禁止に向けた国際戦略会議が、カナダのオタワで開催され、アクスワージー外相が97年内に対人地雷全面禁止条約を調印する、と発表。74ヶ国が参加。この条約交渉が「オタワ・プロセス」となる。

11.11              国連児童基金UNICEF 『武力紛争が子どもに及ぼす影響』レポートを発表

12.10              国連総会「対人地雷の使用、貯蔵、製造、輸出入を禁止する国際条約」の締結を求める決議採択。(賛成156 反対0 棄権10

12.13              オーストリアが世界に先駆けて地雷を全面禁止

1997

              1.14                故ダイアナ妃、アンゴラの地雷原に立ち、対人地雷廃絶を訴える。

              2.1214        対人地雷全面禁止条約の条約文に関する検討会議(ウィーン)111ヶ国が参加

              2.2528        4NGO国際会議(モザンビーク・首都マプト)60カ国以上から400人あまりが参加

              5.21                英国は、総選挙で18年ぶりに政権を取り返した労働党が対人地雷政策を変更し、「オタワ・プロセス」参加を表明

              6.2425        対人地雷全面禁止条約参加の意志を正式に問う国際会議開催(ブリュッセル)

                                     97ヶ国が政治宣言に署名

                                     仏「オタワ・プロセス」正式参加を表明

8.8                  故ダイアナ妃 ボスニアの地雷被害者を訪問

8.18                米国「オタワ・プロセス」正式参加を表明

8.22                「オタワ・プロセス」を主導してきた国による中堅国会議が開催(ジュネーブ)

8.28                日本「オタワ・プロセス」正式参加を表明

8.31                ダイアナ妃事故死 この頃から対人地雷廃絶への世論が高まりを見せる

9.118          対人地雷全面禁止条約の起草会議開催(オスロ)(参加89カ国・非公式32カ国)

                       オタワ条約がまとまる。

10.10              ICBL及びコーディネーターのジョディ・ウィリアムズ 1997年のノーベル平和賞の受賞決定

11.27              日本政府 オタワでの条約署名式に正式参加すると表明

12.34          対人地雷全面禁止条約調印式(オタワ) 122ヶ国が調印(非公式参加37カ国)

12.10              ICBLとコーディネーターのジョディ・ウィリアムズさんがノーベル平和賞受賞

1998

              2.2023        ドイツのフランクフルトにて第1ICBL総会が開かれ、運営委員会Steering Committee(現在の調整委員会Coordination Committee)のメンバー10団体を再確認するとともに、同委員会のメンバーを16団体に増やす。難民を助ける会(AAR: Association for Aid and Relief)が選出される

5                      米国政府が “Demining2010” 会議を開催し、米国はオタワ条約に2006年までに調印すると発表

9.16                 ブルキナファソが40番目のオタワ条約批准国となり、オタワ条約の19993月発効が確定(批准40ヶ国で発効)

9.1518         ICBL「ランドマインモニター(対人地雷監視)」会議開催(ダブリン)

10.2628       「地雷除去及び犠牲者支援に関するプノンペン国際フォーラム」開催(プノンペン)

                   オタワ条約締結から1周年 世界各地でイベント等が行われる

1999

5                      1回締約国会議(モザンビーク・マプト)

2ICBL総会(モザンビーク・マプト)

ランドマインモニター、レポート発表

“Landmine Monitor Report 1999: Toward a Mine-Free World”

             12                    オタワ条約締結から2周年 世界各地でイベント等が行われる

2000

              3                      ランドマインモニター会議開催(オスロ)

9                     第2会締約国会議(ジュネーブ)

                                     ランドマインモニター、レポート発表

                                     “Landmine Monitor Repot 2000: Toward a Mine-Free World”


4.参考資料

参考ホームページ

International Campaigns to ban LandminesICBLHP http://www.icbl.org/

ICBLLandmine Monitorのレポートなど http://www.icbl.org/lm/

ICBLの日本語HP http://www.icbl.org/youth/jp/

地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL) HP http://www.jca.apc.org/banmines/

難民を助ける会HP http://www.aarjapan.gr.jp/

 

外務省HP http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/arms/mine/index.html

外務省CCWHP http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/arms/ccw/ccw.html

 

国連ホームページ http://www.un.org/

対人地雷禁止条約に対する国連会議の総会決議

http://daccess-ods.un.org/access.nsf/Get?Open&DS=A/RES/58/53&Lang=E

 

CNNホームページ http://www.cnn.com/

 


《地雷問題について、簡単にまとめてあるHP

管理人・井上夕貴 http://fsrbono.k-server.org/banl_i.html

「天使になりたい」HP http://www.masayo.org/angel/

 

参考条文

l         国連憲章

l         対人地雷禁止条約

l         特定通常兵器使用禁止制限条約

l         戦時における文民の保護に関する1949812日のジュネーブ条約(第四条約)

国際的武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(第一議定書)

 

参考文献

『地雷なき地球へ 夢を現実にした人びと』pp.260 目加田 説子 岩波書店 1998

 

ビデオ

NO MAN’S LANDtime 98:00 ダニス・タノヴィッチ監督 artist FILM



[1] 決議への考え方についての記述もあり。

[2] 国際会議への参加についての著者の独断的留意点についての記述もあり。

[3] もちろん、もし可能なら、BGで触れられている以外の概念についても言及してみることをお勧めする。

[4] 「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲並びに廃棄に関する条約 (Convention on the Prohibition of the Use, Stockpiling, Production and Transfer of Anti-personnel Mines and on Their Destruction)

[5] 2003.10.23現在、署名150カ国、批准141カ国。(http://www.icbl.org/ratification/)

[6] © Landmine Monitor Report 2003 - Jasmine Desclaux-Salachas.

[7] Ibid.

[8] 「過度に障害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約 (Convention of Prohibities or Restrictions on the Use of Certain Conventional Weapons Which May Be Deemed to be Excessively Injurious or to Have Indiscriminate Effects)

[9] 「地雷、ブービートラップ及び他の類似の装置の使用の禁止又は制限に関する議定書 (Protocol on Prohibitions or Restrictions on the Use of Mines, Booby-Traps and Other Devices)

[10] ICBL and the CCW: MEMO for ICBL CC and Treaty Working Group.

[11] A/RES/58/53

[12] 詳細は第二章の2を参照

[13] WHO調べ。http://www.who.int/

[14] 議長案の前文H参照。

[15] Democratic People’s Republic of Korea(朝鮮民主主義人民共和国)の略

[16] ICBL(地雷禁止国際キャンペーン) “Landmine Monitor 2002”

[17] Ibid.

[18] 2001年米国務省リポート

[19] 97年国連資料

[20] Ibid.

[21] Ibid.

[22] http://comet.endless.ne.jp/users/ippo/jirai/news01.html

[23] もっとも、決議作成の交渉の過程で、武力行使を認める文言において「あらゆる手段を行使して」という提言の使用をもくろんだ、米国の主張を仏国が退けたという、交渉の過程を鑑みれば、一概にこのように判断するのは正しくないのかもしれない。

[24] 国連憲章第2条参照。

[25] Landmine Monitor 2002、「難民を助ける会」HP参照。モラトリアムに関しては、議長案では前文N主文14. に記してある。会議中には推敲して、より完成度の高い文言を考えて欲しい。

[26] 国連総会第一委員会第58会議の決議(A/RES/58/53)及び議事録(A/58/PV. 71)参照。

[27] その他の、オタワ条約の批准を求める文言を考える際にも、ぜひ参考にしてもらいたい。

[28] 国連憲章第11項「国際の平和と安全の維持」など参照。

[29] 議長案の前文QR主文18. 19. 参照。

[30] 大阪府青年赤十字奉仕段HPhttp://www.hi-ho.ne.jp/saigoh/RCYosaka/ihl/what.html

[31] 前文D以外で、この章において論じられてきた内容と、特に深く関わると判断される文言に、前文O主文1. 12. が挙げられる。

[32] 戦時における文民の保護に関する1949812日のジュネーブ条約(締約国数:191)。

[33] 国際的武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(197768日採択、2004年締約国数:161)。

[34] 第一議定書の前文参照。

[35] Ibid.

[36] 議長案の前文F

[37] 議長案の主文12. はこれらの条件の内のいくつかを満たすものは、合法として扱うということを目的としている。

[38] 一方で領土保全のためなら議定書を適用しないとも認められている(12項、4項)。議長案の主文6.

[39] オタワ条約発効のための経過。

[40] Ibid. 全て03/10/23現在。 http://www.icbl.org/ratification

                                                   http://www.icbl.org/treaty/nonsign.php3

[41] 対人地雷全面禁止に向けた国際戦略会議。

[42] もともとは、公的なものではなく、アーリッヒ大使(オーストリア)の個人的な条約案だった。

[43] 同条1項では「…国際的な紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原理に従って実現すること」とある。

[44] 国連憲章第11

[45] 武力行使が違法とみなされるようになるまでの経緯の詳細は、文献「人道的介入」を参照されたし。

[46] 55c、第73c, d, eは省略する。

[47] 参考:国連憲章第13

[48] Landmine Monitor調べ。

[49] 出典:Landmine Data Base, Department of Humanitarian Affairs, United Nations and Hidden Killers of The Global Landmine Crisis, United States department of State

[50] Bosnia Herzegovinaの略。

[51] 出典:国連地雷除去データベース

[52] 出典:赤十字国際委員会、UNICEFの資料

[53] ICBL, “Campaign Information-Ban Movement Chronology” <http://www.icbl.org/>、難民を助ける会AARNGO東京地雷会議実行委員会『第3NGO東京地雷会議・会議要綱』22-23頁(1998)、目加田説子『地雷なき地球へ 夢を現実にした人びと』(1998)「対人地雷禁止への足どり」を参考に作成。