日々、世界中でたくさんの人が病に倒れ命を落としています。その多くは途上国に集中しており、適切な治療や薬の確保が困難であることが原因です。
世界中に存在する全ての人にとって共通に重要な"命"を守ることは、国連の存在目的の一つであり、また全ての解決すべき国際問題の根本であると言えます。命を守るためのあらゆる手段は、平等に全ての人に与えられる必要があります。しかし現在の国際社会においては、とても平等だとは言えません。
中でも今重要となっているのが、途上国における医薬品へのアクセス問題です。HIV/AIDSをはじめとする多くの感染症には、先進国企業の生産する治療薬が必要です。しかしそれらの薬の価格は、知的財産権によって保護されとても高価であるため、途上国には入手困難となっています。知的財産権の存在が途上国の人々の命を危ぶめているのです。
しかし、知的財産権が存在しなければ、薬の研究は行われなくなってしまいます。製薬企業にとって、薬の研究に必要な莫大な費用を賄うためには、知的財産権による保護が必要であるためです。
日々発生している新たな病や、現在治療方法が未だ見つかっていない病に対抗するため、医薬品の研究は進められていく必要があります。しかし知的財産権の保護によって現在薬を入手できない人々が存在することは、急を要する問題となっています。
現在、医薬品の知的財産権は、貿易関連知的財産権協定(TRIPs協定)という協定によって保護されています。今会議では、世界貿易機関(WTO)のもとに設置されたTRIPs協定理事会を設定会議とし、大使のみなさんには、途上国の貧しい感染症患者と先進国企業というそれぞれ異なる主張を持つアクターの、共存の方法を探っていただきたきたいと思います。その上で、多様な主体が存在する国際社会の現状を身をもって感じていただければ幸いです。