議題:「知的所有権と開発」設定会議:世界知的所有権機関 使用言語:日本語/日本語/日本語(公式/非公式/決議) 会議監督:大川孝司 |
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知的所有権という分野は比較的新しくできたものというイメージがありますが、その国際的保護の歴史を見てみると、古くは1883年の「工業所有権の保護に関するパリ条約」にまで遡ることができます。また、1886年には、「文学的及び美術的著作権の保護に関するベルヌ条約」が発効されました。第二次大戦後、この2つの条約を基礎とし、1970年に世界知的所有権機関(WIPO)が創設されました。そして、1974年には、国際連合の14番目の専門機関になりました。2006年4月現在で183カ国が加盟するという非常に大きな機関となっています。
世界知的所有権機関では、より良い知的所有権保護のあり方を求めてこれまで数々の議論がなされてきました。その中で近年、新たなアジェンダが登場してきます。それは「開発」についてです。この開発アジェンダは途上国の要求から出てきたものですが、これは近年の国際的兆候からすると必然的であったのかもしれません。例えば、世界貿易機関(WTO)においては、ドーハ開発アジェンダが登場しています。途上国の中には、現状に不満を持っている国が多くあります。それは、先進国主導であらゆる機関や国際経済体制が作られ、途上国にとっては不利な制度となっているからです。あらゆるところで聞こえてくる「開発」という訴えは、不満を持った途上国の叫びかもしれません。
世界知的所有機関も例外ではありません。今回登場してきた開発アジェンダは、これまでの制度に納得のいかない途上国が新たな制度作りを始めるきっかけであると思います。この取り組みが成功するか否か。それは今後の推移を見守らなければなりません。2006年には、どういった進歩が見られるのでしょうか。
知的所有権というのは非常に高度な法知識や専門知識を必要としています。しかし、参加者の皆さんには専門知識を身につけてもらうことを目的としているわけではありません。それよりも「開発」という国際社会が持つ大きな課題を知的所有権という視点から見てもらうことで、開発に対する問題意識の向上や新たな見識を広めてもらい、現状の問題点を認識していただきたいと思います。また同時に、異なる国の立場を通して議論を深めることにより、グローバル化の進む国際社会の理想と現実を体感してもらいたいと思います。