模擬国連概要

国際連合では現在191カ国の国家の代表が集まり、多岐にわたる国際問題について、それぞれ該当する会議で討議がなされています。模擬国連は国連での会議を想定し、一国の大使となって会議に臨み、外交戦略を立てながら利害関係の異なる他国の大使と交渉を繰り広げます。

 この活動では、国際問題への理解のみならず、担当国の政策立案や外交戦略を立てる際のリサーチ、会議に臨めば他国との外交交渉を必要とするため、単なるディスカッションのみに終わらない特殊性があります。この活動はさまざまな国際問題をより多角的な視点で捉える必要性を教えてくれます。

1模擬国連の発祥と世界への普及

1920年代にアメリカ合衆国で創設された「模擬国際連盟」に活動の起源を遡ることができ、最初の模擬国連活動はハーバード大学においてだといわれています。第2次世界大戦後、国際連合創設に伴い、模擬国際連盟の後継として模擬国連(Model United Nations)が開始されました。国際連合のウェブサイトでも模擬国連は紹介されており、現在では米国や欧州を中心に20万人以上の大学生や高校生が模擬国連に参加しています。また、世界35カ国で年間400以上の模擬国連会議が開かれています。

2日本における模擬国連と組織

1980年代、欧米の教育機関への留学から帰国した教員・学生により、模擬国連は次第に大学や高校の授業に採り入れられるようになりました。その流れを受け1983年、上智大学において当時当大学の教授であった緒方貞子氏【現独立行政法人国際協力機構(JICA)理事長】の顧問の下、日本における初めて組織化された模擬国連の団体、「模擬国連実行委員会」が発足しました。これを期に日本国内への模擬国連の普及がなされ、当大会の主催団体である「関西模擬国連」ならびに「模擬国連委員会」を代表的な組織とするに至っています。以下、日本における模擬国連団体を紹介します。

   @模擬国連委員会Japan Model United Nations Society (JMUNS)

「模擬国連実行委員会」を前身とし、当初は毎年ニューヨークで開催されている「模擬国連会議全米大会」への日本代表団の派遣を中心に活動を行っていましたが、委員会の規模の拡大に伴い、日本国内における模擬国連の活動を本格化させ、名称を現在の「模擬国連委員会」に改名しました。現在、模擬国連委員会の下には、早稲田・国立・四ツ谷・日吉の4つの研究会と九州・宇都宮の2つの支部があり、首都圏だけでも、およそ20の大学から約200名の学生が活動に参加しています。模擬国連委員会は、「日本国際連合学生連盟」の加盟団体です。姉妹団体である関西模擬国連とは協力関係にあります。

・会員の所属大学・首都圏4研究会:東京大学、一橋大学、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、など主要大学20あまり。宇都宮支部:宇都宮大学など。九州支部:北九州大学など。 

   A関西模擬国連 Kansai Model United Nations (KMUN)

本大会開催において、主導的な役割を果たす関西模擬国連は、京都研究会・神戸研究会・北陸支部を活動の拠点として、複数の大学の学生により構成されるインターカレッジサークルです。

1990年に設立された日本国際連合学生連盟模擬国連委員会(現模擬国連委員会)関西支部を前身とします。会員の増加に伴い、1993年に関西模擬国連委員会として独立し、1998年に現在の関西模擬国連に団体名を改めました。2000年8月には模擬国連会議京都大会を運営し、第6回気候変動枠組み条約締約国会議(COP6)を想定した会議を開催しました。この京都大会が、2001年から行われている模擬国連会議関西大会の体となっています。模擬国連委員会と同様に運営は学生の手によって行われており、研究会・支部単位で行われる通常活動のほか、姉妹団体である模擬国連委員会の協力のもと、「模擬国連会議関西大会」や「模擬国連会議全日本大会」、「全米大会代表団派遣事業」等の事業を主催しています。現在10あまりの大学から100名以上の会員が集います。

・会員の所属大学・京都研究会:京都大学、立命館大学、同志社大学など。神戸研究会:神戸大学など。北陸支部:金沢大学など。

※上記の団体以外にも日本国内には、仙台や名古屋、島根、筑波などに模擬国連団体があります。

※このような大学生レベルでの活動だけでなく、模擬国連活動は近年高校レベルでも普及しています。慶應藤沢高校、京都西高校をはじめ多くの高校やインターナショナル・スクールでは模擬国連活動が英語教育の一環として取り入れられ、2005年6月には京都外国語大学にて第14回京都高校模擬国連大会が開催されています。

3活動の流れ

@準備

各会議に大使として参加し行動するには、あらかじめ担当国の政策を立案し、どのような動きをするかを考えておかねばなりません。そのために、議題や担当国に関する情報を調査・分析することから会議の準備は始まります。通常活動では適宜勉強会も行われます。これらを基に、担当国の政策を立案、会議での行動を考えていきます。

A模擬会議

 実際の国連会議の進行に沿って、模擬会議は進められていきます。大使はスピーチ、文書作成、他国との交渉を経て、自国の国益に有利なように会議を展開させようと行動します。最終的には決議案が採択に付され、会議は終了します。

Bレビュー

会議を振り返り、自国の政策や会議での行動を反省したり、実際の国連の会議に照らし合わせてさらに議題への理解を深めます。自分の成長の更なる糧となる場です。

4模擬国連活動の有用性

(1)国連に対する理解

模擬国連は、まさにその名の通り、「国連の会議」を想定します。現場を擬似的に体験することで国連の機能を理解し、国連の限界と可能性を探ることができます。

(2)調査能力

会議の議題は必ずしも日本で研究が進んでいる問題とは限らない上、一部の大国などを除き、各国の政策を調査するのは容易ではありません。しかし、むしろそうであるからこそ、リサーチスキルを向上させることができます。

(3)プレゼンテーション能力

会議中に行われる公式スピーチでは、自国の立場を正確にかつ計算された曖昧さを含めて伝え、主張は論理的かつ明確で説得力をもつ必要があります。こういったことからプレゼンテーションのトレーニングになります。

(4)コミュニケーション能力

国際政治では国内と異なり、明確な拘束力ある政治グループはほとんどありません。そのため他国との交渉が重要になります。しかし、各国の政策や物事の考え方は多様な社会的、文化的、経済的要因に影響され大きく異なります。そのため国益が真っ向から衝突することも珍しくありません。決議案を作成し、その決議案が採択されるためには、自国の政策を主張するだけでは到底足りず、しかも国際問題に対する実効的解決策を模索しなければなりません。このような背景で交渉を行うことで、学生は異文化への理解を深め、問題解決、合意形成など、コミュニケーションにおける重要な要素を学ぶことができます。

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